藍色の研究

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2010年 08月 16日

横浜能楽堂

昨夜は六本木のアール・オブ・ミークラブでライブ。
ドラムスの原田イサムさんのカルテットでした。
お盆なのに、イサムさんのファンの方々で満席。
最初は冷房もききにくい状況。

イサムさんは来年傘寿ですが、そのパワーは衰えておりません。

演奏後にお世話になっている赤羽紀武先生に誘われ、赤坂で飲みました。
日本のジャズの創世記の話が多かったのですが、実は印象に残ったのは政治論。
非常に心強い政治思想を聞けました。
先生とは、またゆっくりと話をしたいものです。

さて今日は終戦記念日。
色んな意味で支えて頂いている、星野裕成氏。
横浜能楽堂_b0094826_21285383.jpg


二回目になりますが、能楽鑑賞に連れて行って頂きました。
場所は横浜能楽堂です。

横浜能楽堂_b0094826_2131428.jpg


今回は特集「平家物語の世界」。
3部構成で、最初は平曲と呼ばれる琵琶の伴奏による謡いです。
いわゆる雨月物語の中の「耳なし芳一の話」で有名な琵琶法師のような形態です。
語られるのは源三位頼政の、敗戦と自刃の話です。
正直言って、僕にはまだまだ真の良さは理解できません。
勉強が不足しております。

しかし次の狂言は、心から楽しめました。
野村萬斎氏のの名前は、能楽に興味のない方々も聞き及んでおられるでしょう。
本物を見てびっくりしましたが、物凄い存在感です。
またその声は、僕が楽器を通して理想とする音の響きを聴くことができました。
良く通り、明確で、太く柔らかいという表現はそのまま音楽にも通じます。
勿論その所作は、まさしく芸術でした。

最後の演目は、もちろん能です。
今回は台本を読みながらの観賞だったので、内容を正確に把握することができました。
これも頼政の話。
平家物語は平家のあわれを描いたものが圧倒的に多いのですが、これは珍しく源氏側の悲劇を語っています。
シテ(主役)の演技は、真に素晴らしいものですが、今日は鼓の凄まじさにも圧倒されました。
能では幽霊(怨霊や亡霊)が出現することが定番ですが、その舞台の緊張感を美しく、また洗練された恐怖を音で表現します。

おこがましく申し上げれば、僕にも能の素晴らしさが少し分かった次第です。

ここまでの知識は、星野さんの解説に依るところが大きいです。

終了後は東京へ戻り、終戦記念日に僕らの先祖に感謝を込めて献杯。

色んな話が出ましたが、日韓併合に関しての首相談話に話が及びました。
星野さんは多くの文献から、新たな事実を引き出してくれました。
少なくとも重要なことは、現在の国際情勢で過去の事実を考えるのは間違えています。
その当時の情勢は、今のように安寧ではなかったのです。
多くの国は、その本当の事実を検証していません。

僕は音楽家なので、直接的に政治に関与することは無いでしょう。
しかしいつも考えています。

今年の終戦記念日は、もっとも実り多い記念日となったかもしれません。

by sunrisek6 | 2010-08-16 22:01 | 文化芸術


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