藍色の研究

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2011年 04月 29日

第16回書友会展

今年も谷山忠男氏の書道展に行って参りました。
「書友会展」というのは、谷山さんが指示された先生のお弟子さんが出品する書展です。

また僕自身も5回目くらいになりますが、もう一度谷山さんを紹介いたします。
氏は長らく#&♭にリード・トロンボーンとして在席されました。
わが国のトロンボーンの水準を、大きく引き上げた功績は永遠に日本ジャズ史に刻まれるでしょう。
予科練において終戦を迎えられた谷山さんは、郷里の土佐へ帰る石炭の積まれた貨車のの上で、日本刀を片手に米兵を斬り自害して散ることをお考えになっていたそうです。
さて前置きはこの辺りにして、素晴らしい作品の数々をご紹介いたします。

     【つかれた足うら念じて洗う
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谷山さんの書は、全てご本人の創作された文章です。
短い言葉の中に、様々な思いが凝縮されています。
毎日長くお歩きのなりますが、このことがとても81歳には決して見えない若々しい身体を保っていらっしゃるようです。




      【戴いて 刻一刻 歩◇一歩
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「戴いて・・」とあるのは、命のことです。
昨年にお祝いとして木の枝でできた筆を差し上げたのですが、その筆を使って書いてくださいました。
非常に感激しています。



      【明けの星 今日の一歩の 響き合う
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まだ暗いうちからお歩きなるようですが、未明の空に星が一つ。
「おはよう!」と声を掛けられたような気がして、この作品が出来上がったそうです。




      【笑顔 ハ 寶(たから)
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今回の作品集の中で最もユニークな書は、なんと寶の字が笑っています。
氏は絵画的な遊び心もお持ちで、このような自由な発想は音楽を演奏する上でも重要なものだと感じました。




   【雨にうたれ 白い花はより美しく 黒い石は磨かれて さらに深く 光を放つ
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美しい文章ですが、白い花は紙、黒い石は墨。
つまり書の芸術、そのもののことをおっしゃっています。





      【今日只今の一呼吸
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仏教の研究家でもある谷山氏は、良く呼吸の事をお話になります。
たくさん吸って、ゆっくりと吐く。
なんと座禅の時は、1分間の呼吸回数はたったの4回。
またこの書の構成の素晴らしいことは、シュールリアリズムの絵画を観ているようです。





      【此処にきて 頭打つやらころぶやら どんな着地になるのやら
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駐車場で天井に頭をぶつけた谷山氏、その時の心情を語った一枚。
お友達のバリトン・サックスの名手である森川伸幸氏は、大笑いされていました。





      【捨てて得る身軽さこそが宝物 と云ってはみたものの
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最後の文章が谷山さんらしい。
そんな堅いことを言ってはみたものの、どんなもんか?
この飄々とした次元に達するのは、僕にとってはまだまだ先の事のようです。

銀座4丁目大黒屋ギャラリー7Fにおいて開催中。
5月1日まで、10:00~19:00(最終日は17:00まで)
どうぞ皆さん、ご覧になってください。

by sunrisek6 | 2011-04-29 19:36 | 文化芸術


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