藍色の研究

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2012年 05月 19日

訃報

#&♭の名バリトン・サキソフォン奏者、森川信幸氏がご逝去されました。
79歳におなりでした。

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森川さんは音楽的に類い稀な感性を持ったジャズミュージシャンでした。
僕が30歳ぐらいの時に#&♭でリードを吹いていた時、非常に大事なことを教わりました。
例えばそれはNHKの番組の収録で「Don't Be That Way」を吹いた時。
ジャズの8分音符には曲調によってバウンスの微妙なタイムが異なること。
今でもそのアドヴァイスは音楽を作る上で大きな助けになっています。
また上手く吹いても、それがジャズである必要を説かれていました。
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楽譜も強く、フィンガリングやタンギングなど当時若かった僕らより数段上のテクニックをお持ちでした。
バリトンサックスはリズムセクションから最も遠い位置にあるのですが、決して遅れることはありません。
音楽が暖かく、またアンサンブルも抜群だったのです。
サキソフォンの弱点に不安定なピッチという側面がありましたが、森川さんがピッチを外すことはまず皆無と言って良いでしょう。
僕は441と442のピッチを正確に吹き分けたことを目撃しています。
そして後輩には優しく、決して自分の我を通す方ではありませんでした。
スタジオの仕事など、おやりになれば完璧だったと思いますが、本人はお嫌いでした。
お金を稼ぐことには無頓着でした。
#&♭に在籍した若手が、自分から音楽的な何かを吸収することを最も喜びとされていました。
また良いお酒をお飲みになりました。
飲むとますます優しくなりました。
楽器のサウンドは実に魅力的でした。
#&♭の全盛期のアンサンブルはトップノートをお兄様の森川周三さん(故人)、ボトムノートが森川信幸さんが担当したからこそ他のバンドでは成し得ないサウンドを作ったものと確信しております。
実はアルトサックスの音色も凄かった。
僕は何度も森川さんに自分の音を聴いてもらい、指示を仰ぎました。
大概は良いとしか言ってはくれませんでしたが。
しかしこのところ少しそのサウンドに近づいたかな、とも思います。
もう聴いてはいただけません。

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森川さん、いやノブさんはいつまでも語り継がれる日本の名演奏家の一人であることは間違えありません。
ノブさんのことを書き始めるとキリがないので、この辺りで筆を置きます。
最大の感謝を込めて、ご冥福をお祈りします。
今ごろはモっさん(森川周三さん)とご兄弟でお好きな日本酒を酌み交わしていらっしゃるのではないでしょうか。

お通夜、20日(日)18:00,
告別式21日(月)11:00。
カルチャーパビリオン 平安祭典 高円寺会館
東京都杉並区高円寺北2-1-7
電話 03-3339-1101

by sunrisek6 | 2012-05-19 01:01 | 友人


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