藍色の研究

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2012年 07月 26日

レコード鑑賞

東川口にある、上野陽一氏宅で多くのレコードを聴かせて頂きました。
上野氏はオーディオ愛好家で、JBLを中心としたスピーカーセットは手作り。
また自宅でジャズライブも催す、真のジャズ愛好家でもあります。

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このところサキソフォンの音に新たな発見と、自分自身の音の再発見のために、このような素晴らしい再生装置を充分なヴォリュームで聴くことが必要だったのです。

上野さんのセットは、暖かく柔らかい音で耳に刺さるサウンドは一切ありません。
氏がオーディオ的な数値では無く、音楽としてサウンドを捉えている証拠です。
そしてオーディオ的な解説は一切されません。
あくまで音楽を聴くのです。

今日のラインナップは、最近富に興味を持っている渡辺貞夫氏のアルバムから。
渡辺貞夫「ライブ・アット・ピットイン」
シダー・ウォルトン・トリオとの共演、こんなにも素晴らしかったかと再認識。
「ラウンド・トリップ」、チック・コリア、ヴィトウス、ディジョネットとのフリーフォームをソプラニーノで。リズムセクションが凄い。
「I'm Old Fashioned」ハンク・ジョーンズ、ロン・カーター。トニー。ウィリアムスとの共演盤。

次に無名のアメリカ人プレーヤーが日本で残した(スリー・ブラインド・マイス)録音。当時の日本の若手(日野元彦、池田芳夫氏等)がバックに廻るが、音は良いが音楽的内容は素人のようだった。
この時代は、米国人のジャズっぽいサウンドのみで圧倒されていたのかもしれない。

そしてサダオさんが大好きだったチャーリー・マリアーノ。
初めて聴くアルバムは。ドラムスのシェリー・マン名義のコンテンポラリー盤。
実に素晴らしい。サダオさんが傾倒するのは当然。

レコード鑑賞_b0094826_1125438.jpg

CDへ変わり、日本のアマチュアビッグバンドのアルバム。
早稲田ハイソサエティと慶應ライトミュージックのOB混合バンド、「ハイ・ライト」。
相変わらずネーミングは上手い。
内容も立派で、韓国のプロビッグバンドより上手い。

次に僕が注目する池田篤のピットインライブ。
辛島文雄氏をピアニストに、あっちゃんらしい演奏の数々。
テナーまで吹いていたのには驚く。
現在病気療養中であるが、早期の回復を祈る。

ここで僕の持ってきたCDを掛けてもらう。
最近NHKで演奏した音源。
やはり良いセットで聴くと、色んなことが分かる。
非常に参考になる。

マリアーノの晩年の名作「Silver Blue」。
自宅のセットで聴くと、若干高音が痩せた印象があったがとんでもない。
やはり極上のアルト・サックスのソノリテを持つ名手だ。

尊敬するテナーの山口真文しの新作。
ピアノの片倉真由子を始め、若手が真文さんをしっかり固める。
全曲が真文さんのオリジナル。
どこを切っても完璧、脱帽。

その後に名盤「サキソフォン・コロッサス」。
改め、てロリンズの並はずれた力量が、まざまざと記録されている盤であることを認識する。

最後にデイヴ・リーブマンの「Quest」。
さすがである。
一曲目の「ジキル博士とハイド氏」は、自分も演奏したいと思った。

ここで数時間に及ぶレコード鑑賞は終了。
実に収穫が多く、これからの意欲が湧き上がってきます。

2階へ移動して、奥様のチャコさん(恒子さん)の手料理と美味しいお酒をご馳走に。
グルメ系のミュージシャンなら、ここで写真を掲載するところ。
僕は飲むことと食べることと、そして会話に夢中になり撮影は忘れていました。

僕の方がちょっとだけ年下なのですが、若輩者の話を良く聞いてくださいます。
また僕の方も得るところが多く、実に楽しい時間を過ごすことができました。
最近ではノルウェーのピアノトリオも、ここで演奏したそうです。
日本人の芸術感が凋落しつつある中で、ご夫妻の行いは貴重です。

市民ボランティアによるフェスティバルなども多く開催されるようになりましたが、問題は彼らに音楽の良し悪しを判断する芸術的な耳が不足しているところです。
そのため首を傾げたくなる人選と、信じがたいキャッチコピーを見せられます。
嘘はいけません。

市民はあくまで素人、分をわきまえるのが日本人の美徳です。
上野夫妻のように、多くのミュージシャンのライブ会場に足を運ぶことで長年掛けてジャズの意味を理解されている方こそ、音楽監督の任に適しています。

難しい話も、笑い声のうちに過ぎて行きました。
また良い音を聴きに、ここを訪ねたいと思います。

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by sunrisek6 | 2012-07-26 11:24 | 文化芸術


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