藍色の研究

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2012年 10月 18日

丹後の3日間

後藤卓三氏は、京都府峰山高校の教諭を長年勤められました。
熱心に教育に係わることだけでも非常に素晴らしいことですが、氏には大きな功績があります。

それは30年近く前、独力で原信夫とシャープス&フラッツを峰山高校に招聘したことです。
今でこそジャズバンドの学校公演は珍しくありませんが、当時は実に革新的な出来事でした。
また同校吹奏楽団との合同演奏を果たしたこと、また音楽家と学生が舞台で心を通わせたことは特筆に値します。
そのような経緯で、後藤氏により今回は僕のセクステットでの学校公演が実現しました。

後藤氏は自宅をコンサートも可能な間取りで設計されました。
名前も「シャープス&フラッツの館」。
ここで二日間のコンサートが開かれ、両日ともに満席。

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一回のコンサートに70名以上の観客。
普通の自宅では考えられません。
奥様のすづ代さんも、長年教職についておられ、料理や飲み物の、また地域の方の接待なども担当されています。
正にご夫婦での共同作業ですが、これに加えて近辺のボランティア・スタッフが素晴らしい。
この地方は紳士淑女が多いのです。
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僕はこのコンサートを、自分達の想像力が最も出るジャズのナンバーのみで構成しました。
殆どは一般の方々に馴染みの薄い曲ばかりです。
しかしこの直球勝負は大成功でした。
アメリカンポップス、古き良き時代の米国歌謡より、音楽的に芸術として後世に残して欲しい多くの曲を優先した訳です。
何故なら僕はエンターテイメントよりも、ジャズをやるために生きているからです。

丹後のリスナーは、この音楽を実に理解し惜しみない喝采をしてくださいました。

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二日目終了後の打ち上げ、スタッフやお客様と。
前列右から、後藤卓三氏・椎名豊・広瀬潤次・僕・中路英明・その後ろの藍色の着物、後藤すづ代さん、ルイス・パジェ、最後列の左、川村竜。

そして三日目は、京都府立網野高校での芸術鑑賞教室。

この日の為に後藤氏はPAの機械を購入。
音響に詳しい広瀬潤次と、会場での音を作ります。

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そして本番。
僕はここでも、いつものライブハウスと全く同じ選曲をしました。
問題は演奏家の熱い誠実な想いが、どれほど生徒たちへ届くかということです。

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昼食後の音楽鑑賞は、特に眠気を誘うもの。
しかし網野高校の生徒達は、最高の聴衆でした。
彼らの目を見ていれば分かります。
最初はこちらから誘導した手拍子が自発的に出始め、最後は掛け声も掛りました。
間違えなく、これまでの学校公演の中でも記憶に残るものとなりました。

ひとつ残念だったことは、こちらからの合同演奏の企画が通らなかったことです。
色々と学校には行事などもあり、難しいのでしょう。

しかし終了後、電車の時間ギリギリまで楽器別にクリニックだけはやってきました。
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やはりこのような交流は重要です。

後藤夫妻を始め、スタッフの皆さまに感謝いたします。
網野駅17:12の特急に乗り、京都で新幹線、自宅には23:30到着。

長旅ですが、ここは丹後半島や天橋立の美しい景観と共に、人と文化の重要な地域です。
来年も是非とも再来したい。
メンバーの表情が演奏の満足感と、この地域への想いを物語っています。
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by sunrisek6 | 2012-10-18 18:07 | コンサート


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