藍色の研究

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2014年 08月 14日

西荻窪・アケタの店

この老舗ジャズライブハウスは久しく来ていませんでした。
西荻窪駅の周辺は路地が多いのですが、その中の一つの小路に「アケタの店」があります。
僕が上京した40年前の昭和が、まるで時間の経つのを忘れたかのように生活していました。
今日は紙上理(しがみ・ただし)セプテットでの演奏。
メンバーは年上が3人、年下が3人。音楽に年齢は関係ないのですが、キャリアとジャズを始めた時代の差は少しばかり関係があります。その時の社会情勢や、同世代の考え方などの影響を切り捨てて考えることはできません。
それでもジャズは演奏が始まれば、音楽の中での会話となります。僕達にとって音楽とは言葉であり、詩人が言葉を完全に道具として扱うことできることと同様に、ある意味では音を道具として使えるべく修練した職人とも言えます。
自分の人生観念や形而上学的な観念を演繹させることが(小林秀雄)、僕らの目的ではありません。
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リーダーの紙上さんのベース、元岡一英さんのピアノ、高橋知己さんのテナー。それぞれの先輩方の演奏はこれまで数多く聴いてきましたが、今日は非常に冷静に聴いている自分がいます。安心して、彼らの言葉に頷きながら同意できる意見を一つずつ承認して行きます。年齢を重ねることで、切羽詰まった環境から多少とも抜け出せたことが余裕を持つことに繋がったのでしょうか。それだけ過去の自分が未成熟であったことを、そしてこの時間を巻き戻したような昭和を、と言うより若い頃の自分に重ね合わせることを味わっているのでしょう。

演奏した全曲はオーガナイズドされていて、テーマのアンサンブルだけでもジャズの愉しさを十分に伝えるものでした。気をてらうことなくホーンセクションを彩った元岡さんの編曲が好感を持てます。
もう若手では無いのですが、松島啓之の瑞々しいトランペットはアンサンブル、ソロとも類まれな才能を発揮していました。強いブルースフィーリングを感じます。
狭い店内ですが、ほぼ満席。変わったのは、現代の耳でジャズを感じる聴衆の方かもしれません。僕はこの方々を大切にしていきたいと感じます。

by sunrisek6 | 2014-08-14 12:07 | ライブ


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