藍色の研究

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2017年 10月 04日

アンサンブル・ウィーン=ベルリン

現在頭の中はジャズなのだが、前々から予定していたコンサートに行ってきた。2年前も鑑賞したアンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーによる各楽器の協奏曲の演奏会である。少し説明が要るかもしれない。このアンサンブルは世界最高の交響楽団である、ベルリンフィルとウィーンフィルの首席奏者によって結成されたもの。初代はシュルツ(fl)、シェレンベルガー(ob)、ライスター(cl)、トルコヴィッチ(fg)、ヘーグナー(hr)という伝説の巨人たち。しかし現在の若手のソリスト達も同じく世界の頂点に立つ顔ぶれだ。
一曲目はファゴット、リヒャルト・ガラー。ウェイバーのコンチェルトを演奏。この楽器の表現力を遥かに超えたステージに、早くも一曲目から場内にため息が漏れるほど。
2曲目はクラリネットのアンドレアス・オッテンザマーによるシュターミッツのコンチェルト。ヴィブラートを一切掛けないクラリネットの音が、まるで天上の音楽のように会場に響く。音色の本質はヴィブラートにはあらず。
3曲目はオーボエのジョナサン・ケリーによるR・シュトラウスのオーボエ協奏曲。打って変わって何と美しいヴィブラートを伴った音だろう。天使が歌っているような錯覚さえ覚える。前言を翻すようだが、このヴィブラートは既に音の中に溶け切っている。
4曲目は僕にとってのハイライト。フルートのカール=ハインツ・シュッツによる前々から聴きたかったニールセンのフルート協奏曲。2年ぶりに聴いた彼の先鋭的な音は色あせないどころか、年齢と共に深みを増していた。フルートがかくも幅広いダイナミクスを所持するとは驚愕である。
最後の5曲目は唯一の金管楽器ホルンによるR・シュトラウスの協奏曲。超絶的技巧を用いながら、あくまでも高い音楽性を感じさせる実に暖かい旋律の歌い方であった。
世界のトップレベルで活躍する管楽器奏者を生で聴くことができたことは当たり前だが実に有意義であった。5種類の楽器に共通したことは、広いダイナミクスと気品のある音色。これは何もクラシックの世界だけに言えることではない。色合いは異なっていようが、ジャズのサキソフォンの音色にも気品は必要である。これは繊細な吹奏をするという表面的なことでは断じてなく、ブルースを感じていれば自ずとそうせねばならぬ音楽的普遍性の問題であろう。
お陰でまた頭の中がリセット(この言葉はこういう場合に使用するものだ)できた。明日からまた理想の音に向かって進んで行こう。
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by sunrisek6 | 2017-10-04 00:33 | 文化芸術


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