藍色の研究

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カテゴリ:文化芸術( 54 )


2017年 10月 04日

アンサンブル・ウィーン=ベルリン

現在頭の中はジャズなのだが、前々から予定していたコンサートに行ってきた。2年前も鑑賞したアンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーによる各楽器の協奏曲の演奏会である。少し説明が要るかもしれない。このアンサンブルは世界最高の交響楽団である、ベルリンフィルとウィーンフィルの首席奏者によって結成されたもの。初代はシュルツ(fl)、シェレンベルガー(ob)、ライスター(cl)、トルコヴィッチ(fg)、ヘーグナー(hr)という伝説の巨人たち。しかし現在の若手のソリスト達も同じく世界の頂点に立つ顔ぶれだ。
一曲目はファゴット、リヒャルト・ガラー。ウェイバーのコンチェルトを演奏。この楽器の表現力を遥かに超えたステージに、早くも一曲目から場内にため息が漏れるほど。
2曲目はクラリネットのアンドレアス・オッテンザマーによるシュターミッツのコンチェルト。ヴィブラートを一切掛けないクラリネットの音が、まるで天上の音楽のように会場に響く。音色の本質はヴィブラートにはあらず。
3曲目はオーボエのジョナサン・ケリーによるR・シュトラウスのオーボエ協奏曲。打って変わって何と美しいヴィブラートを伴った音だろう。天使が歌っているような錯覚さえ覚える。前言を翻すようだが、このヴィブラートは既に音の中に溶け切っている。
4曲目は僕にとってのハイライト。フルートのカール=ハインツ・シュッツによる前々から聴きたかったニールセンのフルート協奏曲。2年ぶりに聴いた彼の先鋭的な音は色あせないどころか、年齢と共に深みを増していた。フルートがかくも幅広いダイナミクスを所持するとは驚愕である。
最後の5曲目は唯一の金管楽器ホルンによるR・シュトラウスの協奏曲。超絶的技巧を用いながら、あくまでも高い音楽性を感じさせる実に暖かい旋律の歌い方であった。
世界のトップレベルで活躍する管楽器奏者を生で聴くことができたことは当たり前だが実に有意義であった。5種類の楽器に共通したことは、広いダイナミクスと気品のある音色。これは何もクラシックの世界だけに言えることではない。色合いは異なっていようが、ジャズのサキソフォンの音色にも気品は必要である。これは繊細な吹奏をするという表面的なことでは断じてなく、ブルースを感じていれば自ずとそうせねばならぬ音楽的普遍性の問題であろう。
お陰でまた頭の中がリセット(この言葉はこういう場合に使用するものだ)できた。明日からまた理想の音に向かって進んで行こう。
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by sunrisek6 | 2017-10-04 00:33 | 文化芸術
2017年 09月 01日

ニューヨーク7

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 今回のニューヨークは毎日が自分との戦いのようでした。このことは後に述べるとして、最終日は観光と休息に充てることとします。とは言え前日のジャムセッションが終わったのが午前3時、クイーンズの滞在先へ戻ったのは午前4時を過ぎていましたから今日は無理はできません。
 しかし絶対に行きたかったのはブルックリン側からブルックリンブリッジを眺望するポイント。アメリカの色んな映画を観るにつけ、この場所での撮影があります。その度に長い間ニューヨークから遠ざかっていることを、悔恨と寂しさを感じていました。ここに来ることで、子供じみてはいますが気持ちにケリをつけたかったのです。最寄駅からははなれているのに多くの人々が訪れていました。その後はマンハッタン・ミュージアム・オブ・アート、略してMOMAに行きました。金曜日の夕方からは$25の入場料が無料なのです。閉館までに時間がなかったので、5階の近代絵画に絞って鑑賞しました。メトロポリタンの画家の作品群が、更に多く展示されており、ここにはキュビズムや点描画家、またシュルレアリスムの作品も豊富でまさに垂涎ものです。
 夜はタイムズスクエアに足を延ばして、実に清潔になったこのエリアで今回初めてステーキを食べました。硬い肉でしたがソテーではなくグリルなので美味しくいただきました。
 久しぶりのニューヨークで感じたことは、ミュージシャンの音楽に対する真摯な姿勢です。日本では楽しそうに演奏することを是とする人たちもいますが、自分の演奏が余程完全ならそんなこともあるやもしれません。しかし少なくとも僕は自分の出している音に満足しながら吹くことは稀です。この街のジャズクラブで聴いた多くの優れたジャズマンも同様です。無駄に笑っている演奏家はいません。まだまだ日本では付加価値にうま味を感じる幼稚さがあります。容貌だったり、性的な魅力だったり。音楽によってそのように見えることは事実ですが、それは全て芸術といえる崇高な演奏のなせる業です。そのことでの音楽的成熟は必要でしょう。
 具体的なことで感じたこと。まずベーシストの音程が頗る良い。音程が悪いベースは存在しない。ピアニストの音が柔らかい。またコンピングのリズムが実に上手く、PAに頼らない。ドラムスは音量が小さくても大きくても、リズムの速度と重量感が明確な表現と共にゆるぎなくバンドを支える。当たり前のことですが改めてそう感じました。そしてホーンはとにかく自分の言葉を持ち、即興演奏を正確に失敗させずに吹く。タンギング一つのミスもないほど。これは今後自分に課すべきことの大きな一つです。 
 わずか一週間足らずでこれだけのことを教え、そして思い出させてくれたニューヨークに改めて最大限の感謝を捧げます。
 翌日は朝4時半起き。ニューヨークの日の出は初めてです。帰国したら、時差ボケを治して西日本ツアーに備えます。


by sunrisek6 | 2017-09-01 18:06 | 文化芸術
2017年 08月 31日

ニューヨーク5

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昼間は近所のコインランドリーへ行き、洗濯をしました。中国人の店主にやり方を尋ねながら、総額で$2,75。これは安い。一般にニューヨークの物価は安くありません。外食をしたら、大したものでなくても$200を越える事も多い。そのことを考慮するとジャズクラブのミュージックチャージは平均して$25くらい。相当なビッグネームでも$45です。だから今回はどこに行ってもほぼ満席。経営手腕とニューヨーカーのジャズを愛好する気持ちが上手く噛み合ってる。
ところで物価が高いのは、ある意味収入も増えているからです。勿論全ての人々がそうだとは言えませんが、僕が住んでいた35年前よりも圧倒的にホームレスが少ない。日本も物価を上昇させて収入を上げて行く方向が望ましいのでしょう。
その後懐かしいワシントンスクエア。100回は通ったブリーカー通りを歩きました。

夜は今回の渡米の最大の目的の一つである、ジャムセッション。まずメズローで2曲演奏。ここは積極的に入って行かなければ、順番は回って来ません。非常に美しいハーモニーを操るピアニストと共演できました。写真は無いのですが、そこからスモールズへジャムセッションのはしごです。ここは最も活気のあるジャズクラブだけに、ジャムセッションのレベルも高い。入店したときは強力なハウスバンドの演奏に迎えられました。このバンドが終了して、多くのミュージシャンがステージになだれ込んできます。僕は一曲目に機を逸して吹けなかったのですが、ここで割り込むのはかなりの力が要ります。次の曲でやっと一曲演奏できましたが、ここで下手な演奏をすると周りから非難の視線が飛んで来そうな勢いです。事実、僕の前に演奏したテナーには、全く拍手がありませんでした。何とかいつもの感じで吹くことができて、無事に終了。一年くらいここに留まってジャムに浸りたい気分です。まあまた近々リトライしにニューヨークへ来るかもしれません。



by sunrisek6 | 2017-08-31 18:03 | 文化芸術
2017年 08月 30日

ニューヨーク6

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今夜は日本で共演が叶ったベーシストHarvie Sさんに連絡を取り、彼の参加するトリオの演奏に出掛けました。会場は思い出のあるグランドセントラル駅に近い、Jazz at Kitano。ホテルが経営する高級感のあるクラブは満員。始めて聴くピアノのAlan Broadbent氏の演奏は、全てがスタンダードでありながらオリジナリティー溢れるレハーモナイゼーションと、決してそのことに溺れることの無い超絶的なテクニックが夢見るような美しい音色で表現されていました。勿論ベースのハービーさんは、このトリオを根底から支え類い稀なコントロールを表現、また彼がエンジニアと共同開発したベース専用スピーカーも明確さと重厚さとを合わせ持った音響をジャズクラブの空気に提供していました。ドラムスのBilly Mintz氏は、終始弱奏。それでも強く深みのあるリズムを叩き出すところがニューヨークです。
このトリオは僕よりも年上の方々ですが、音楽が実に瑞々しく、そして冷静で驚くほど謙虚です。終了後に駅へ歩いて帰る途中、2ブロック先のビルに立ったまま寄り掛かって休息を取るBroadbent氏を見付け、賛辞を送る事ができました。彼は確実に、僕の理想のジャズミュージシャンの一人です。エンパイアステートビルが建つアップタウンは、アメリカの富と力の象徴ではありますが、芸術家達の一生を賭けたひたむきな努力も共存していることを実感します。

by sunrisek6 | 2017-08-30 18:01 | 文化芸術
2017年 08月 29日

ニューヨーク5

夜はニューヨークのジャズクラブの老舗、Villege Vangerdへ。カート・ローゼンウィンケルのクインテットを聴きました。彼はマーク・ターナーのアルバムで知っていたのですが、目の前で聴くとその流れるような滑らかで柔軟なギターの響きに、少し難解なメロディーも自然に心に入ってきます。またテナーのマーク・ターナーも殆ど生音で聴くことができました。ニタイ・ハーシュコビッツの美しく現代的なソロも感服します。ベースはダリオ・フロミット、ドラムスはマーカス・ギルモアです。

その後96丁目のクレオパトラズニードルで参加自由のジャムセッションへ行って来ました。実は今日8月29日はチャーリー・パーカーの誕生日。ニューヨークでConfirmationを吹けた事は幸せです。

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by sunrisek6 | 2017-08-29 23:58 | 文化芸術
2017年 08月 29日

ニューヨーク4

前回の一年近くの滞在中に一度も行かなかったメトロポリタン美術館。若い頃はジャズしか頭に無かったとは言え、実に勿体ないことをしました。今回はまず此処に行くことが旅の目的の一つ。
今日は中世の絵画と近世の絵画のみに絞って観賞。実に驚いたことに、中世の絵画の何と生き生きと現代にも作品の香りが明確な主張と共に漂っていること。色が違います。これならば300年前の絵も直接的に理解できる。これだけでも大きな収穫でしたが、近世の画家の作品集には圧倒される。思い出すだけでも、セザンヌ、マチス、モネ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソー、スーラ、レンブラント、フェルメール、ピカソ、そしてルノワール。何と贅沢な時間だったことでしょう。
このメトロポリタンはまだまだ多くの展示場があります。とても一日で回れないし、心と頭が付いて行きません。最後に金管楽器の展示を見て、一旦宿に引き上げました。
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by sunrisek6 | 2017-08-29 18:55 | 文化芸術
2017年 08月 29日

ニューヨーク3

35年振りのマンハッタン。59丁目で地下鉄を下車。マイルスのアルバムでも有名なプラザホテルを過ぎて、コロンバスサークル。懐かしさの余り昔に住んでいた103丁目のアパートを訪ねる。勿論まだあって、僕はここの10階に住んでいました。25才の自分の記憶が脳裏に押し寄せます。
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by sunrisek6 | 2017-08-29 12:50 | 文化芸術
2017年 08月 29日

ニューヨーク2

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ニューヨークは朝になり、肌寒く小雨がぱらつく天気でしたが、いそいそと外出。滞在するのはニューヨーク市クイーンズ地区。マンハッタンからクイーンズボロー橋を越えて10分程の場所です。

by sunrisek6 | 2017-08-29 09:47 | 文化芸術
2017年 08月 27日

ニューヨーク1

羽田空港国際線です。これからニューヨークへ出発します。20代のころに一年近く滞在したニューヨークは、随分変わったようです。しかしジャズを究めるミュージシャンと、その現代でも創造性を失わないジャズという音楽を愛好するオーディエンスには変化が無いはず。観光ですが、半分以上はジャズの研鑽が目的。若い頃のように、少し緊張しています
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by sunrisek6 | 2017-08-27 17:45 | 文化芸術
2016年 07月 01日

【CD紹介】Joe Henderson In Japan

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ジャズの名門レーベル、リバーサイドのライナーには次のように、「1970年前半のジャズシーンは、それを生んだ国においても低調であった。しかし日本においては話が違ってくる。日本の聴衆は完全な理解と深い知識でジョー・ヘンダーソンを認識していた。決して若いとは言えないジャズミュージシャンの創造する音楽は彼らに更なる熱狂を与えた。(後略)」
リズムセクションは市川秀男、稲葉国光、日野元彦。1971年、銀座「ジャンク」での実況録音。4曲目の[Junk Blues]をまず聴いていただきたい。聴衆を含めた我が国の音楽文化の高さに驚かれることだろう。

by sunrisek6 | 2016-07-01 09:34 | 文化芸術