藍色の研究

sunrisek6.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2013年 11月 ( 7 )   > この月の画像一覧


2013年 11月 29日

新国立美術館

新国立美術館へ行ってきました。
今回の企画展は「印象派を超えて-点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」です。
b0094826_8203883.jpg


点描とは、混ぜると彩度が落ちる(色がくすむ)絵具の性質を嫌い、補色を科学的にも研究し細密な原色の点を集合させて光を表現することによって新しい絵画の方向を示した手法です。
僕も美術史に明るい方ではありませんが、スーラの「グランド・ジャト島の日曜日の午後」は皆さんもご覧になればお分かりになると思います。
残念ながらこの大作の展示はありませんでしたが、100点ほどの名作を鑑賞できました。

b0094826_8282964.jpg

シニャックの「ダイニングルーム(朝食)」です。
点描の手法を用いた初期の作品で、緻密な表現を間近で観ると顔に青や茶などのドットも描かれています。
離れて観たときに、それが実に面白い効果を生み彼の世界へ入って行きます。
また技法のみに留まらず、人物の表情と配置、完全に正しいとは言えないデッサンが大きな魅力です。

この技法を更に発展させ完成させたのがスーラ。
b0094826_8334863.jpg

スーラの「ポール=アン=ベッサンの日曜日」と題された作品は、彼の一つの頂点です。
目の前の手すりを前面に配置した構図が画面に奥行きと動きを感じさせます。
彼らは港を題材にした作品を多く残していますが、海の光が船舶や灯台桟橋に降り注ぐ様を、現実よりも美しく描きます。

そしてこの企画展の目玉であるヴィンセント・フォン・ゴッホ。
b0094826_8421772.jpg

圧倒的な力を感じる表現には、作品の前にくぎ付けになります。
もとはミレーの(フランスの農民や田園風景を写実的に描いた画家)作品を題材にしていますが、ゴッホは点描と言う手法を自分なりに消化して、シニャックやスーラとは全く異なった絵画表現に達しました。
画面上部の太陽は、普段我々が気づかないけれど絶対的な光を地上に与える太陽系の唯一の恒星である母なる星を想起させます。
彼は空気さえ表現できる作家だったのでしょう。

印象派とはセザンヌ、モネなどに代表される表現方法ですが、点描の画家たちはこれに新たな和音を加えたような感じです。
そしてこの延長線上にモンドリアンがいます。
彼は20世紀の画家です。
b0094826_8512414.jpg

この展覧会はヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人が19世紀末からの貴重な絵画芸術の動きを後世の人々に伝えるべく、新人の作品を購入することにより彼らの生活を支え重要なコレクションとして美術館の設立に至りました。
芸術はジャズも含めて、それを生み出す芸術科のみでは、その繊細な生命を存続させることはできません。
現存する人類の財産とも言える芸術は、その殆どが芸術に無償の愛を注いだ資産家の存在を忘れてはなりません。
商業主義は営利目的ですから、決してこのような崇高な精神を持ちえないのです。
さて、このミュラー夫人をして「色と形で作る音楽」と言わしめた、モンドリアンの「コンポジション No.II」。

これは実物と図版では相当の差があります。
この絵は見飽きません。
美術に門外漢である僕には上手く説明する力は無いのですが、理屈抜きに目が楽しんでいました。
目の保養とは良く言ったもので、心も躍ります。
音楽家であるのにかかわらず、音楽が聴こえなかったのは僕の才能の限界かもしれませんが。
なお今回の文章はすべて僕の感想です。
専門家ではないので間違えがあるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

心地よい精神と肉体の疲労感は、すぐに頭と体の中で活力へと変化します。
12月23日まで毎日(火曜日は休館)、新国立美術館で開催中。
皆さんもいかがですか。

by sunrisek6 | 2013-11-29 09:13 | 文化芸術
2013年 11月 28日

池袋・インデペンデンス

池袋の芸術劇場近くに位置するジャズクラブ「インデペンデンス」は、正統的なジャズを演奏する雰囲気を守る数少ない場所です。
そして今日も良いミュージシャンに恵まれました。
多彩なピアノワークで音楽を創造していく今泉正明は、オーソドックスなジャズを基盤にしつつも新しいアプローチに躊躇いがありません。
ベースの本川悠平のビートには、リズムを委ねられる深さがあり、アメリカではごく当たり前のことですが我が国では希少なことなのです。
ドラムスの安藤正則の人間性は非常に暖かく、それが確かな技術と相まって音楽を正しい方向へと導きます。
b0094826_963778.jpg


今日の演奏は僕の気分で、多少伝統的な手法を踏襲しすぎた感もあります。
しかしながらバンドが上手く機能していると、スイングに不安が無いことから使いなれた語法でも新しく甦る気がしてくるものです。
この状態が恒常的になれば、もっと次元の高い演奏に到達するのでしょう。
決して広い店ではありませんが、非常に素晴らしいお客さま方で、ほぼ満席になりました。
このような状況で演奏できることを、心から幸せに感じております。
b0094826_9112390.jpg


by sunrisek6 | 2013-11-28 09:12 | ライブ
2013年 11月 24日

新宿・ピットイン

実に久しぶりで、新宿ピットインでの演奏でした。
若いころは、この店こそジャズの聖地と言うべき場所でした。
昔は朝、昼、夜、と3部に分かれて一日中ライブをやっていました、。
若手はもちろん朝の部(現在はありません)から、リーダーバンドをスタートさせました。
僕は昭和63年11月13日が、初めての大山日出男カルテットとしてのピットイン出演でした。
長男の誕生を見届けて、新宿へ向かったことを覚えています。

さて今日はピアノの山岸笙子さんのバンドでした。
このバンドには数年前まで在籍して、多くのステージを共にした懐かしさがあります。
曲目は全て新曲に変わっていましたが、山岸さんのカラーはぶれずに貫かれていました。

b0094826_9292317.jpg


ミシェル・ペトルチアーニやスティーブ・スワローなど、僕はあまりやらないナンバーが並びましたが、演奏してみると非常に素晴らしいものでした。
彼女のオリジナルは事前に自宅で練習したのですが、やはりステージで完全に演奏することは難しいですね。

by sunrisek6 | 2013-11-24 09:38 | ライブ
2013年 11月 19日

熊谷商業高校クリニック

熊谷商業高校吹奏楽部のクリニックをやってきました。
熊谷は大宮から快速で30分の距離です。
新幹線も停車する大きな駅ですが、生徒たちは純粋で音楽に熱心でした。

今日はサックスとフルートのクリニックでしたが、受講する生徒はそれぞれ2名ずつ。
それを吹奏楽部員全員が公聴するという、公開レッスンの形を取ります。
受講生だけではなく、全ての部員が熱心に耳を傾けてくれました。

顧問の先生はトロンボーンを吹いていた経験がおありで、レッスン後に吹奏楽のことについて同じ意見であることを確認することができました。

学校を後にした時は、もう暗くなっていましたが、代表の生徒たちが出口まで送ってくれました。
このような生徒との音楽的な触れ合いは貴重です。
これからも機会があれば、続けて行きたいと思います。

b0094826_1249896.jpg


by sunrisek6 | 2013-11-19 12:49 | クリニック・レッスン
2013年 11月 19日

ジャズピアノクラブ・JOE

赤坂にあるジャズピアノクラブ・JOEでのライブ。
このお店には初めて行きました。
ここは元シャープス&フラッツのピアニストだった、ジョー・蒲池さんのお店です。

b0094826_1230289.jpg


日曜日の昼間でうが、残念ながら新宿で行われたジャズフェスティバルと時間が重なってしまい決して多くのお客さんはいませんでした。
しかし久ぶりでの蒲池さんとのデュオは楽しい時間でした。
また奥様はヴォーカルでKAORU(かおる)さん。
豊かなブルースフィーリングが印象的です。
また彼女は博物館の学芸員でもあり、幕間の話で歴史に関して興味深い事実を教えてもらえました。

by sunrisek6 | 2013-11-19 12:36 | ライブ
2013年 11月 17日

クリニックとライブの一週間

9月にカルテットで西日本ツアーをしましたが、今回は最初の二日間が原信夫氏ののクリニック。
その後は一人で福山と防府を周りました。

初日は浜松市アクトシティ音楽院主催による、原信夫のジャズクリニック。
元シャープスのメンバーであるマイク・プライス(tp)、片岡雄三(tb)、稲垣貴庸(ds)も同行します。
一日に2か所の学校を巡ります。
最初は中部中学校。
b0094826_8414234.jpg

年生が引退したばかりで、1.2年生が中心ですがなかなか頑張っていました。
パート練習では教室が音楽室だったので、僕はピアノ伴奏しながらジャズを教えたりしました。
どの学校もそうですが、音楽的に純粋な彼らは変化する速度が速い。

移動して気賀高校へ。
ここは高校生で技量も高く、今回はジャズヴォイスの説明を深く掘り下げました。
驚いたのは難易度の高いソリを、アルトサックスの生徒を中心にしっかりとまとまっていたこと。
ビバップの吹き方ではアクセントの位置が音楽の生命線のひとつです。
3年目のクリニックですが、これをほぼ完全にマスターした彼女たちに敬服します。
b0094826_8491116.jpg


終了後は原さんと共にみんなでうなぎ屋さんへ。
目の前で捌いて焼いてくれます。
白焼き(しろやき)は新鮮でないと美味しくありません。
食材疑惑が問題になっていますが、発覚するまで食通は見抜けなかったのでしょうか?
騙すことは悪いに決まっていますが、音楽も味覚も知性。
テレビやメディアの紹介を丸のみにする大衆にも情けなさを感じます。

二日目は午前中からのクリニック。
午前中は開成中学などの3校合同クリニック。
ここも3年目なので、随分と安定してきました。
全国大会にも出場した学校なので、楽器の響きも素晴らしい。
b0094826_91497.jpg
b0094826_904162.jpg


午後は初めてクリニックを行う篠原中学。
初回ですから自己紹介から始めました。
僕がどうやって音楽が好きになって行ったかとか、数々の失敗談なども話しました。
この学校の生徒は非常に明るく、実にのびのびとしています。
先生の指導が良いのでしょうね。
b0094826_952813.jpg

音楽を演奏するには重要なことです。
一つの学校は3年間続きます。
それは卒業などの入れ替えがあっても、1年生から3年生まで一年間はクリニックが受けられるように配慮されているからです。
そして毎年度3回のクリニックがあり、それが大きな効果を与えるようです。
この学校もこれからが実に楽しみです。

2校のクリニックが終わり皆と別れ、単独で新幹線。
福山へ向かいました。

3日目と4日目はシャカイジンビッグバンドのクリニックです。
最初はニュースインク・ドルフィンズ。
リーダーの宮澤兌郎氏と懇意にしていただいて、もうかれこれ12年になります。
この長い間にリサイタルを継続する力は大変なものです。
今回はリサイタルの閑散期、野球で言えばストーブリーグ。
しかし今日の演奏は本番前の実力を保持していました。
b0094826_91465.jpg

難曲である「Yagotta try harder」なども格段の進歩が見られます。
多分来年のリサイタルの目玉になるのでしょう。

この夜は終了後に面白いことがありました。
偶然ですが、僕の他に二つの東京からのバンドが福山にいたのです。
地元でドラムを演奏する佐藤政徳氏の呼びかけで、ジャムセッション・パーティーが開かれました。
福山のアマチュアミュージシャンも参加してのジャムは、非常に楽しいものとなりました。
フルートの太田朱美さんとは初対面。
前々から話を聴きたかったので、特にフルートに関して様々な情報を貰いました。
終了後のスナップ。
b0094826_921518.jpg

堀秀彰(p)、太田朱美(fl)、広瀬潤次(ds)、高瀬裕(b)、本川悠平(b)、藤陵雅裕(as)、安藤正則(ds)、日本のジャズを支える面々が一堂に会しました。
だんだん乱れてきますヽ(^。^)ノ
b0094826_929163.jpg


翌日は昼間に古本屋へ。
福山に来るといつも立ち寄る児島書店。
ここではこれまでに10冊以上購入していますが、普通は手に入り難いものも多いのです。
人に聞いたら、やはり知る人ぞ知る名店なのですね。
今回も変わった本を買いました。
I・ヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」。
地球は過去2回(紀元前1500年と紀元前800年)に彗星の大きな影響を受け、自転軸と自転周期が変わってしまったという仮説を、全世界の神話をもとに立証するというもの。
世界中の天文学者から大バッシングを受けた本書は、それでも当時のベストセラーになりました。
こんないい加減な本を出版する会社には二度と寄稿しないという学者も出て、アメリカでも日本でも翻訳者に脅迫状が届いたほど。
内容は軽くありません。
集中していないと、何が書いてあるのか脳にとどきません。
このツアーの読書には実に適しています。
思い立ったのが、前から欲しかった「20世紀の和声と音楽(V・パーシケッティ)。
この本を1万円以下なら取り寄せてもらうことをお願いしました。
見つかると良いのですが・・・。

さて夜は前回のツアーで体調を壊したときにお世話になった、小畠病院の院長である小畠敬太郎先生の主宰する「ネオ・エンドルフィン」。
小畠先生はテナーを担当。
今回は先に個人レッスンも行いました。
自宅の練習スタジオは立派なもので、ビッグバンドのリハーサルには十分。
お客さんだって少し入るくらいです。
b0094826_944767.jpg

グレン・ミラーのライブラリが中心です。
今回は「American Patrol」「In The Mood」「St.Louis Blues March」などの曲を題材に、突っ込んだニュアンスの説明をしました。
前回から比べて、益々スイングしてきたように感じます。

4日間のクリニックが終わり、最後の二日間はライブです。
初めての試みですが、地元のミュージシャン二人とピアノレス・トリオ。
ベースは中村尚美、ドラムスは佐藤政徳。
b0094826_10271335.jpg

ピアノが無いこともあり、変化を持たせるためにアルト・テナー・サックスにフルートも加えました。
そして地元のヴォーカル原勢津子さんと、ドラムスに伊藤たまえさんも参加。
b0094826_10305969.jpg

このライブでも受付などの労を取っていただいた宮澤氏とドラムの伊藤たまえさん。
b0094826_10314163.jpg

お客さんは非常に喜んでくれました。
このようなライブも良いものですね。

最終日は山口県防府市の「ジャズ屋」です。
この店はマスターの国貞さんのリタイアが決まっています。
最後の機会なので、無理を言って演奏させていただきました。
なぜかと言うと、これほどまでにミュージシャンの間で評判の高い店も無いからです。
行ってみて感じたのは、お店の広さと吹きやすさ。
それから観客の皆さんの暖かさ。
お客の質はお店のマスター、ママさんの人柄が如実に反映されるものです。
良いお店には、良いお客さんが付く。
当たり前のようですが、なかなか難しいことなのです。
b0094826_1037574.jpg

お店は別のオーナーで存続が決定していますが、国定ジャズ屋は最後。
ライブが立て込み、集客が大変な中でもたくさんのジャズ愛好家の皆様が集まりました。
b0094826_1040355.jpg

演奏内容もバンドして、だんだんと良くなって行ったのではないでしょうか。
来年の再演を約束して、アンコールも終了。

宿泊はジャズ屋さんのご自宅です。
温かい雰囲気で、この旅で一番リラックスしました。
翌日は天候も良く、ベランダで食事。
御嬢さんのまりさん、愛犬のももこちゃん。
小春日和の日差しを浴びて良い気持ちです。
b0094826_10434598.jpg


山口空港まで送っていただき、旅が終わりました。
今回も様々な出会いがあり、とても全ては書ききれません。
旅をしない音楽は不幸だ。と言ったのはモーツァルト。
旅は風景だけではなく、人との触れ合いなどで音楽家を成長させます。
多くの方の親切の上に成り立っていることを、深く感謝します。

by sunrisek6 | 2013-11-17 10:48 | クリニック・レッスン
2013年 11月 04日

宇都宮ジャズクルージング

宇都宮ジャズクルージングは、2005年から毎年開催されるジャズライブイベントです。
宇都宮ジャズ協会加盟店舗16店のジャズライブハウスで夜に2回から3回のジャズライブを同日開催し、共通のミュージックチケットを発行するイベント。
観客は、チケットを購入すると何店舗でもクルーズ(周遊)することができるというものです。
今年も二日連続で参加しました。

一日目は宇都宮駅前のホテル・サンシャイン内の「シエスタ」です。
b0094826_12483615.jpg

リズムセクションは栃木と群馬ミュージシャンの混合チーム。
リハーサルの時から真剣な姿勢で臨んでくれました。
b0094826_1250427.jpg

曲によってはフルートも加え、サウンドに変化をつけます。
3セットのステージは毎回お客さんが入れ替わります。
この辺りがクルージング制の特徴でしょう。
どのセットも楽しく聴いていただけたように思います。

写真はありませんんが、終了後には老舗のジャズクラブ「近代人」を尋ねました。
このクラブは開店して53年目、これは一代で営業するジャズの店としては日本一です。
マスターの平山さんの店は、未だにジャズの聖地なのです。
若手ミュージシャンと本気でセッション。
終了後に彼らとの音楽の語らいは至福の時です。

二日目は「Gorge(ゴージ)」での昼間のライブ。
NY在住の平木かよさんとのジョイントライブとなりました。
b0094826_12572922.jpg

客席には宇都宮の若いミュージシャンも見受けられ、彼らは熱心に演奏を聴いてくれました。
僕も若いころは先輩の演奏をたくさん聴きましたが、その頃のことを思い出します。
これは身の引き締まる思いがするものですね。

b0094826_12595198.jpg


終了後の記念写真。
両端がお店のマスターとママさん。
色々と細かくお気づかい頂きました。
左から2番目が、殆ど全てをお膳立てしていただいた佐藤康弘氏。
今日はいつもの名調子で司会もお願いしました。
とちぎ音の会の主催者で、「スーパーソニック&キャラメルホーンズ」のリーダー兼サックス奏者である彼は、
政治・社会問題にも造詣が深く僕と意見を同じくする部分も多くあります。

非常に楽しい二日間となりました。
帰りは高速道路で北関東自動車道と東北道の大渋滞に引っ掛かりましたが、車中ではずっと日本シリーズを聴いていました。
東北楽天優勝!
東北の皆さんおめでとうございます!
田中、則本、美馬の継投は圧巻でしたね~。

by sunrisek6 | 2013-11-04 13:13 | ライブ