藍色の研究

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2014年 12月 25日

六本木・アルフィー

何と数十年振りに六本木のジャズクラブの老舗、アルフィーでのライブ。
西村知恵のバンドでした。
彼女はジャズの要素を持つ数少ない日本の歌手のひとりです。
その強みは歌っている時の腹の括り方かもしれません。
恣意的で自分本位なミュージシャンでは、こうは行きません。

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ところで個人的に長いスランプは、急な発熱と共に暗中の光明を垣間見た感があります。
自分の基盤が揺らいだ時に立ち戻るアルトの巨人たちがいます。
この基盤とは音楽的なものというより、アルトサキソフォン奏者としての自分の楽器に対する姿勢に焦点を合わせた技量に関することです。これは決して音楽やジャズ全体から考えて限定的な狭い範囲を示すものではなく、演奏家としては生死を分ける重要な必要条件です。
どんなに偉い事を言っても、指の動かないピアニストは虚しい。
足下から浮き立つリズムを打てないドラマーも悲劇です。
それと同じく、自分の声を持てないサキソフォニストは籠の中の鳥のようなもの。

しばらく自分の音が聴こえずに苦労しましたが、全く考えもしなかった事象に遠因がありました。
前述したアルトサキソフォニストの学ぶべき3人は、チャーリー・パーカー、キャノンボール・アダレイ、フィル・ウッズです。もちろん星の数ほどアイドルは存在し、全ての先達からは貴重な恩恵を受けています。けれどこの三人に絞ることには意味があります。様々な曲想、テンポにおいて自分が不明な点をチェックします。過去には的確に把握していなかった表現が見つかる時が、自分の蜜月の終わりです。そこからは基本に立ち帰って、欠落した自分の感性を充溢させねばなりません。
この夜の演奏を聴いた方々は、何らかの過渡的な試みを僕のサキソフォンから感じたことでしょう。

by sunrisek6 | 2014-12-25 00:15 | ライブ
2014年 12月 22日

新宿・サムデイ

新宿サムデイでのセクステットでした。
新メンバーを加えての演奏でしたが、全員が素晴らしいプレイを繰り広げました。

実はここのところはスランプでした。
スランプというのは正確ではないかもしれませんが、とにかく自分の演奏、特にサウンドの根本(音色ではありません)に欠落が見えてきたのです。もちろん欠落と言ってもジャズを演奏するための根本的な欠損では無く、あくまでも自分の理想上で必要な要素のひとつであるという意味においてのことではありますが。
正直言って今年はアンブシュアの改良により、アルトサックスを吹くことが幸せでした。しかしながら蜜月は長く続くものではありませんし、それはそのまま進歩の停止でもあります。現在頭の中には茫洋とした理想が固まりつつあります。そんなことを考えながら苦悩していると、この日は帰宅後に39℃近い発熱をしてしまいました。翌日の仕事は全てキャンセルして寝込んでいましたが、翌日には仕事へ復帰。熱で朦朧とした中で、様々な事象が錯綜し夢の中での心象はこの後に実を結ぶかもしれません。

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良い悪いでは無く、自分の好みと理想との問題です。しかしと言うより、だからこそ何とかせねばなりません。自分の演奏のどこを修正して良いか見当がつかない、最大の不幸は回避できているのですから。

by sunrisek6 | 2014-12-22 12:29 | ライブ
2014年 12月 11日

西荻窪・アケタの店

今年の夏に続き、二度目のアケタの店。
ここのところは滅多に共演できない先輩方との再開は嬉しい限りです。
紙上理(しがみ・ただし)さんのセクステットでした。
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ベースの紙上さんは、20代半ばの頃にお世話になりました。
長期の旅にも同行し、様々な音楽的経験をしました。
ピアノの元岡さんはNYで初めて知り合い、以降40代の僕のカルテットで長らくサポートしてくれました。
日本各地のツアーに加え韓国などでも一緒に演奏し、多くのステージをこなしながら貴重な助言を与えてくれました。
そして今日は数十年ぶりに、ベースの吉野弘志さんが聴きに来てくれました。
氏は芸大在学中に、ジャズの右も左も分からず単純にいきがって夢を見ていた使いものにならないアルトを吹く若造に、多くの厳しさを教えてくれた数少ない大学の先輩です。
過去の辛辣な示唆も、久し振りにお会いすると懐かしさと感謝の気持ちで一杯になります。
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歳を重ねて得をすることの一つに、このような方々との邂逅を心から己の人生の上で幸運なことであったと素直に感じられることがあるのかも知れません。
演奏はもちろん楽しかったのですが、急な冬空の中にも心の中は暖かくなりました。

by sunrisek6 | 2014-12-11 00:20 | ライブ
2014年 12月 06日

草加・シュガーヒル

草加シュガーヒルのデュオでした。
今晩の共演者はピアノの今泉正明、いつもながらジャズフィールに満ちたスマートな演奏は外連味がありません。
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現在はカルテットでのツアーが終了して、本年のレパートリも一段落している状態です。
次はどのような展開で、そのためにどの曲を選択するか或いはどのような思惟で曲を作るかを模索する期間でもあります。非常に高い山頂さえ見えない登山を行っている状態は音楽家の修練に例えられますが、今は中腹の見晴らしの良い場所で一休みしながら計画を練っているようなものかもしれません。そのためにテクニックの調整と維持、リードの状態やビブラートの速度の安定化、音程やアタックの再確認、そしてアドリブソロの物語的展開をもう一度見直します。
その意味で今晩は良い機会を得ることができたように感じます。

by sunrisek6 | 2014-12-06 14:27 | ライブ
2014年 12月 01日

銀座・シグナス

ケン岡本さんはベテランのドラマーです。氏の若い頃から憧憬のスタイルである、1950年代後半の黒人ジャズミュージシャンの作り上げたビバップを基調にする音楽に特化して演奏しています。チャーリー・パーカー等の新しい世代のジャズは、飽くまで一般の音楽ファンにとってダンスの伴奏だったり、ディナーのBGMであった音楽を一変させました。ダンスフロアーを無くし、着席して鑑賞するようになったわけです。世代によっては現在でもこの音楽に対しての反発は強く残り、古き良き時代のジャズへの回帰を主張する方がも大勢いらっしゃいます。50年代後半のジャズはハードバップとも呼ばれ、旋律を単純化して多くの人々に口ずさめるようにもなり、またブルーノートと呼ばれる、ブルースに根差した音階の変更を多用し、そのためにFunkyなジャズとの類型化を批評家からなされたのです。そしてジャズの歴史の中では、ジャズそのものの力だけで多くの愛好者を獲得しました。このバンドの名称であるFunky Jazz All-starsは、このことに由来します。
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この流れはクラシック音楽のそれと共通する部分があります。バッハにより完成されたバロック音楽をバイバップに例えるなら、19世紀の半ばから主流となったロマン派の音楽はハードバップに当たるでしょう。決して進化したわけではなく、変化したのです。新しい音楽は古い音楽を進めたわけでは決してなく、新しい素材を対象に加えるために、ある要素を少なくするか或いは消さねばなりません、古い音楽家はそのことを、音楽そのものの衰退だと感じて、このことに警鐘を鳴らしますが、人の思想とは数百年経っても変わらないものなのでしょう。その中で何人かの音楽家は、新しい物の価値を見出すことができるし、また数割の音楽家は過去の遺産に最大の敬意を払いながら独自の音楽を模索します。
良い音楽家かそうでないかはこのことで決まり、ジャズ遊戯は空しさだけが空間に漂うのです。
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さて今日の歌手は、おかのひろみさん。まだ新人で完成されていませんが、彼女は上記のジャズ的な考えに及ぶことができる数少ない新人です。それは彼女の深い歌声に表象されており、今後音楽のみならず人生における経験が歌唱に加味されるでしょう。今後を期待しています。

by sunrisek6 | 2014-12-01 11:36 | ライブ